20代の頃、海外を旅したことがある。
【旅に出たきっかけ】猿岩石かよ!
社会人になって3年を過ぎたころ、無性にこのままではだめだとの思いが強くなった。
大学を卒業し、普通のサラリーマンになったが、その延長線の人生に疑問を感じたのだろう。
海外で本格的に英語を学習したいという思いがあった。
海外に行けば英語が学習できるようになるのではという、漠然とした望みがあった。
その実は、別に海外に行っても努力しないと英語などどうにもならないと後に知ることになるわけであるが。
当時、猿岩石という芸人がヒッチハイクで香港からヨーロッパを目指すという番組を楽しみにしていたが、これにも影響を受けたのかもしれない。
また、深夜特急という旅小説を、その旅をしながら読んでいたものだ。
荷物はバックパック一つという中で、本を全6巻とも持って行った。
今ならさしずめ電子書籍か、それがあればどれだけ楽だっただろう。
これらは読み終わった順に旅の途中で出会った人にあげてしまった。
荷物が段々軽くなっていったのを記録している。
【旅に出る前の悲壮な覚悟】これからどうなってしまうのだろう…
ともかくアラフィフの今、考えてみるに、私の今までの人生の中で最も悲壮な覚悟での旅であった。
決して浮ついた考えではなく、むしろ出発前には全く行きたくなくなっていた。
仕事も辞め、色々な手続きをして、家族や友人と別れ、あまつさえその時、付き合い始めた今の妻とも離れての旅である。
夢や希望というよりは、これからどうなるのだろうという不安の方がはるかに勝っていたような覚えがある。
バックパックに荷物を積んで立ち上がった時の感覚を今でも思い出す。
大体20キロか30キロだったかは忘れてしまったのだけど、その荷物が全てである。
当時はインターネットもGPSもないから自分がどこにいるのかも判らない。
これは不安になるのも当然である。
連絡をつけるには、30秒で100円とかいう、目もくらむような高額な国際電話か、各都市の中央郵便局で届く手紙のみ。
どこかで客死したところで連絡がいくのだろうかという様な時代であった。
英語の勉強をしにいくのが目的であるから、最初から英語が出来るという事もない。
まさに無謀な挑戦であった。
今、私の子供が全く同じことをやろうとしたら泣いて引き留めるだろう。
よくもまあ、何とかここまで復活したものだ。
人生というものはレジリエンスが効くものである。
【最初の経由地クアラルンプール】深夜だし泊まる所どうしよう…
成田空港で人生最後となるタバコをぎりぎりまで吸って、ライターと残りの10本を併せてゴミ箱に放り込んでから飛行機に乗り込んだ。
私の禁煙はここから始まり、すでに禁煙は 20年を大きく超えている。
最初の到着地はマレーシアのクアラルンプール空港である。
お金がなかった私は目的地のオーストラリアに行く前に、途中降機により、東南アジアも旅したいと考えたわけだ。
クアラルンプールについたころにはすでに深夜。
それから宿探しである。
1日目で大変な思いをした。
最初の宿は確か一晩500か600円位の宿であり、シャワーは水でも部屋は個室であった。
窓がなく、要は押し入れみたいな部屋である。
かぎもないので、自分で持ってきた南京錠を使用する。
外にも鍵を付ける場所があり、これを付けて外出するのであるが寝ている間に誰かに取り付けられたら監禁されるななどと考えながら眠りについた。
【オーストラリアへ】いや、もう帰りたいのですけど…
まず、マレーシアに一週間ほど滞在してから北上して、タイに行き3週間ほどすごしたのち、再度マレーシアの同じ空港に帰らなくてはならない。
まあ、そんな日程は後になってそうなったというだけで、当時は何にも決まっていない。
決まっていたのは1か月後に再度、そのクアラルンプール空港に戻らなければならないという事だけ。
そういえば、マレーシアからタイに陸路で入ったときには、国境まで行くのもミニバスにぎっしり詰め込まれて大変だったが、タイの国境についてからも大変だったなあ。
今は知らないが、当時は国境に町がある訳ではなく、スクーターが並んでいる。
そのスクーターに二人乗りで近くの町まで連れて行ってもらうのだ。
当然有料である、公共サービス公共などではない。
なんだか、気分は大分アウトローである。
しょぼいアウトローもあったもんだが。
で、最終目的地はオーストラリアだったので、最後にはタイから経由地空港のあるマレーシアに戻る。
この時点で、1か月ほど経過しており、更に別の地域に1年とか冗談じゃなかった。
本当は日本に帰って寝たかったけど、そうもいかないため、仕方がないから元々予定していたオーストラリア行の便に乗り込んだのである。
【まとめ】
こんな訳の分からない旅に出た場所にまた行って、その時の気持ちを思い出したいという事である。
でも、あの頃の苦労はごめんだ。
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