そういえば、私の趣味と言ってよさそうなものがあった。
それも積極的、精力的に継続しているものだ。
ワインである。
20代の頃から酒と言えばもっぱらワインを飲んでいた。
酒を飲み続けて随分になるが、最も好んでいたのがこれである。
とはいえ、別に高級ワインをたしなむという訳ではない。
どうせ酒を飲むなら体にいいと聞く赤ワインがよさそうだ、との気持ちからだ。
そういえば昔 母親も体のためと言って少しずつ薬のように飲んでいた時期があった。
どうもポリフェノールの含有がよいらしい。
どこまで万能であるのかは知らないが。
おまけにワインは一度ボトルを開けたら酸化する。
だから開けたからには一本飲むことが望ましいという理論付きだ。
なにぶん酸化してダメになってしまったら元も子もない。
一度開けたら飲み切るのが私の中でマナーのようになっていた。
そのような何かと自分に都合の良いこの習慣はよく続いた。
なにせ体に良いのだ。
誰にはばかることもない。
酔っぱらってへべれけでも、次の日二日酔いでも飲んでいる。
赤ワインであるということでどこか良い事をしている気がしていた位だ。
あほである。
酒は酒だ。
そりゃ、ポリフェノールが入っているのは確かだろうからよいこともある
のだろうが、これだけ飲んでりゃ立派な毒だ。
おかげで腹はポッコリ出てしまい、毎日の時間もずいぶん減ってしまった。
飲んでいる最中は楽しいが、その最中もだが、その後に何かをするという
事も出来はしない。
その日は飲んで寝るだけである。
相当昔、30代の前半頃になるが、アメリカで仕事をしていた時期がある。
仕事の都合上、1年程で帰国となってしまったが、その頃の長期休暇の際
カナダのブルワリーに行ってワインの試飲をやった事がある。
その時に世界一小さい教会という場所にも行った。
何やら本当に小さい。4人も入れば満員となるような教会であった。
で、なんだか、その時のかっこいいイメージがあるのだろう。
色々なワインを飲んで学習し、ちょっと気の利いたコメント、例えば芳醇な味わい
があるとか若草の香りとかそれっぽいことを言ってみたいと思っていた。
気分は田崎真也(著名なソムリエ)である。
ただ、実際はどうか。
私が好んで飲んでいたワインは実は一本800円位のスーパーのワインである。
20代の頃には4リットルで箱に入って蛇口がついているものを飲んでいた。
安いものを飲むというのは一貫している。
ごくまれに、年に数回位、貰ったりした良いものを飲んだりしていたが
多分どう考えても味などわからない。
わかるのは高いか安いかという価格だけだ。
ん、これはうまい、だって高いから、とか、
ん、これはまあまあ、だって安いからとか
そんな基準な訳である。
あとは、なんか変な味で飲めない、という事があるだけ。
どう考えても、ワインに対する才能はなさそうだ。
それに気が付いたのは減酒(あくまで断酒や禁酒ではない)してからだ。
下手にのめりこんで、ワインに高い金を払って、芳醇な味わいが、とか言い
出す前でよかったと思う。
ワインへの拘りには際限がないのだ。
バケットリストを作り始めたとき、この項目は割と早く上がってきた。
やりたいことリストなのだから当然だ。
当初はこれこそ高尚なバケットリストにふさわしいと思っていた。
誰に見せても恥ずかしくない項目である。
ただし、そもそも別に高尚なリストである必要はないのだ。
今となってはあまりやりたいと思っていない。
むしろ減酒を継続したいと思っている。
もうすぐ1年だ。
この項目の実行は断念する事にした。
その様な場合には題名に ”- 中止”と記載することとしよう。
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